| まず事例を紹介。
前回予告した事例は、隅切り角が大きかった為、変更しただけだ。 この場合、道路境界敷地側(赤線)を眺めると鍵状に屈曲した 難解な道路境界にみえる。しかし隅切りで2分された2の道路だ。 JCBAの場合、道路中心線が敷地側から120度以内で接道する道路は それぞれ別道路とする。この場合は2の道路となる。
この様な戸建て住宅だ。道路斜線をA,Bの位置でそれぞれ斜線断面を確認すると A側では
斜線規制NG、B側では
クリアーしているが、A側を天空率で対処する場合、全ての境界(B側も)を 天空率比較しなければならない。
従ってこの場合A,Bの2区域をチェックする。 まず問題のなさそうなB区域から確認しよう。
右側の適合建築物で示される様に全ての計画建築物が適合建築物以下にあり 最小でも3%程の差分でクリアーしている事がわかる。
さてA側だ。結論から以下の様になる。
この事例でポイントとなるのは、算定位置と適用距離の考え方もしくはチェック法だ。
まず適用距離。行き止まり部からの道路斜線は、すり鉢状に適用される。
その際の適用距離は、行き止まりカ所の角の位置から15.613mとなる。
この数値は、道路の反対側の位置を4.387m(道路幅員4m+後退距離0.387m) とし、適用距離20mから差し引いた20-4.387=15.613mで円弧状に適用する。 JCBAではこの様な設定法を敷地区分方式とする。
次に算定位置だ。まず算定位置の延長から考えてみよう。(P10〜P14) 算定位置は、道路の反対側が原則より道路の反対側の境界線より 道路斜線が適用される位置まで延長される。この場合、隅切り部を無視した 本来の道路境界の反対側に設定する事で問題ない。みなしの道路境界線 があると考える。
そこで問題だ。みなしの道路境界を考える場合、行きどまった前面にみなしの道路境界 を設定する必要の有無を検証してみたい。
この様にP15とP16の算定位置が必要ではとの考え方だ。 この場合、2つの理由から不要と考える。 1)行き止まり道路の反対側にはBの道路境界が存在する事と 行き止まり部の反対側がP10〜P14の間に存在する為に不要と考える。 その為、さらにみなしの道路境界を設定する必要がない。 (それらの道路境界線が無い単なる行き止まり道路の場合はみなしの道路境界 および算定位置を設定する。)
2)P15〜P16の位置に算定位置を設定した場合、適合建築物に接近するため それらの差分はP10〜P14より接近する事がない。 つまりP15とP16は計算する意味がない。 これは比嘉ブログで度々お伝えしてきた、「適合建築物に近い算定位置では 適合建築物の天空率が著しく低下する。」の理論に基づく。 天空図で確認検証しよう。
適合建築物に接近するP15では、計画建築物の影(灰色)が適合建築物(緑)の 内側にあり適合建築物の天空率が著しく低下する為だ。 P10の位置では赤線で示す適合建築物を越えた計画建築物の影と緑部のみで示される 敷地空地(適合建築物のみの部分)の影の面積比較となる。 緑部が大きい為、差分2.115%計画建築物の空が広い。
天空率の場合、安全側であれとの思いで余計な設定する事が多いが 注意したい。設計、審査双方の負担を増すだけで意味の無い場合が多い。
今回お伝えしたかった事は以上で終了だがTP-PLANNERユーザの皆様には 設定法のポイントを解説する。 まず2の道路に区分するのは「天空率敷地」で行う。
@同一区間に設定する道路境界線を「SHIFT]キーを押しながら選択する。
A同一区間設定覧の「設定」ボタンを押しグループ化する。(行き止まり設定不要) そして適合建築物を算定位置を発生させる為 「天空率算定領域」に移動し
@道路境界発生覧の「全境界」ボタンをクリックし全境界の 適合建築物と算定位置(基準線)を自動発生する。
A行き止まりを自動検出しみなしの算定位置を自動発生するが上記理由で 不要な為、基準線を選択し削除する。
あとは一気に天空率計算を行えばよい。 実践あるのみ。
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