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■9205 / 親階層)  建築基準法第35条の3(採光無窓居室の主要構造部)について
□投稿者/ m.d. (2回)-(2013/09/16(Mon) 04:06:03)
    (無窓の居室等の主要構造部)
    第三十五条の三  政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、その居室を
    区画する主要構造部を耐火構造とし、又は不燃材料で造らなければならない。
    ただし、別表第一(い)欄(一)項に掲げる用途に供するものについては、この限りでない。

    法文上このように規定されており、令111条第1項で定める窓その他の開口部が
    無い場合に、その居室を耐火または不燃で区画せよという条文ですが、
    この条文中の『その居室を区画する主要構造部を』という文に疑義があります。

    これは、
    1.『その居室を区画する床・壁は法2条第五号で規定される主要構造部となり、その部分を』
    という意味なのか、もしくは
    2.『その居室を区画する床・壁のうち、他の規定で法2条第五号の主要構造部とみなされる部分を』
    という意味なのか、という点です。

    1.の解釈を取れば、例えば法27条第1項・法61条・法62条第1項等による耐火建築物においては、
    その主要構造部は法2条第九号の二イ(1)より耐火構造にしないといけないわけですから、
    『耐火建築物の採光無窓居室は耐火構造の床または壁で区画しなければならない』
    という事になってしまいます。しかし、実際には採光無窓居室には非常照明を設置し、
    歩行距離について確認すれば、不燃はともかく耐火で区画せよとまでは言われないと思われます。

    2.の解釈を取れば、その居室を区画する床・壁のうち、『建築物の防火避難規定の解説』P.18等
    により明らかに主要構造部とみなされる、令112条区画・令114条壁や、床(最下階除く)等
    に関してのみ不燃または耐火を要求されていることになります。このような解釈を取ると、
    例えば木造平屋建て建築物で採光無窓居室が出てきても、そもそもそこを区画する壁は
    単体では『主要構造部』とはならない(法2条第五号でいうところの、建築物の構造上重要
    でない間仕切壁となる)のですから、別段問題は無い事になります。
    (法28条第1項、令126条の4の規定に関しては別問題)

    どちらの解釈が正しいのでしょうか?私は1.の解釈なのかなと思っているのですが・・・
    仮に2.だとすれば、なぜこのような規定ができたのか、はなはだ疑問ではあります。
    何かこれに関して明快に解説している書籍・行政資料等をご存じの方はいらっしゃいますか?
    もしくは、採光無窓居室に関して、法35条の3の対応を明示しなくても確認がおりた事例はありますか?
    なお、この質問は純粋な興味からくるものであり、具体的な計画に基づくものではありません。


    ●熊本県建築基準法例規集2012年版 P.46 (A8650)
    http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/63163.pdf
    熊本県のこの取扱いを見ると、1.の解釈であると理解できます。
    『無窓の居室とその他の部分とを区画している壁』が『主要構造部』となる以上、
    耐火建築物であれば耐火構造が要求されるものだと理解できます。
    大規模物販店舗のように、テナントにより様々な居室が形成される一方、
    その面積の広さゆえに1/20採光を取るのが現実的に困難な建築物において、
    実際に採光無窓居室の壁をすべて耐火構造としているのかどうか、気になるところです。

    ●神戸市建築主事取扱要領(第2版) 単体規定P.51 (ii-19)
    http://www.city.kobe.lg.jp/business/regulation/urban/building/rule/img/shujiyouryou2_2.pdf
    神戸市のこの取扱いも1.の解釈ですが、大規模店舗で問題が生じうることを
    想定してか、『主要構造部』となる範囲に関しては限定させています。
    点線で示されている場所の一部が、防火シャッター等の、常時は採光上1室と見なせる
    区画だった場合、どのように取り扱うのか少し気になるところです。
    また、住宅等の法28条第1項・第4項の採光有窓の判定においては、3室1室までは認められない
    ケースが多いと思いますが、このケースでは図を見た限りでは認められそうです。(主旨も異なる)

    ●建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集〔第6版〕 P.40 (2-74)
    http://www.cac-osaka.jp/upload/data_fl_file/fl00000080-00.pdf
    大阪府内建築行政連絡協議会も、1.の解釈で、採光無窓居室を区画する壁は
    『主要構造部』だと言っています。P.12 (1-7)で質問に対する回答として
    主要構造部について定義していますが、ある意味それに追加する形となっています。

    ●四日市市建築基準法取扱集(単体規定編) P.125 (111.)
    http://www5.city.yokkaichi.mie.jp/secure/39541/111.pdf
    一方、四日市市のこの取扱いは、単純に『主要構造部』としてしまうと耐火要求が
    出てしまうのを回避するためか、不燃や準耐火にすれば、『主要構造部』と
    みなさずに済む・あるいは問題が無いという柔軟な対応に見えます。
    (準耐火構造でも必ずしも『不燃材料で造られ』てはいないことも想定している)
    しかし、これも2.というわけではなく、やはり1.の解釈に特例を設けてるようです。

    もろもろ見たところ、やはり、2.の解釈は採用しがたいでしょうか。


    ●採光無窓
    法28条第1項―(令19条)―住宅・学校・病院等への、無窓が許容されない絶対に必要な採光規定
    法35条―令116条の2第1項第一号―令120条第1項表(1) ―採光無窓居室から直通階段への歩行距離
    法35条―令116条の2第1項第一号―令126条の4 ―採光無窓居室とその避難経路への非常照明設置
    法35条の3―令111条第1項―採光無窓居室の区画が主要構造部とされ、不燃以上が求められる
    ●換気無窓
    法28条第2項―換気無窓居室への換気設備設置
    ●排煙無窓
    法35条―令116条の2第1項第二号―令126条の2第1項―排煙無窓居室への排煙設備設置(緩和規定有)
    法35条の2―令128条の3の2第一号―令129条第5項―排煙無窓居室とその避難経路への内装制限

    消防法による消防無窓階を除いてもこれだけ色々とありますが、歩行距離は適合させれば良く、
    換気設備はシックハウス対策で必ず設置する必要が有る物の性能を検証すれば良く、
    非常照明は設置すれば良いですし(そもそも法別表第1(1)-(4)の特殊建築物等は元から必要)、
    排煙設備に関してはH12建告1436号四ハ(4)で100m2以内なら免除する手があります。
    場合によっては耐火の壁だらけになってしまう法35条の3は相当な重さではないでしょうか。
    法文上、明示的に『主要構造部』を発生させる条文はこれくらいだと思います。

    ※専用住宅で換気無窓居室があると、機械換気があってもH12建告1436号四イの規定を使えなくなって、
    さらにその居室が排煙無窓の居室でもあれば令126条の2第1項違反となる可能性が非常に高いが、
    法6条第1項第四号、法6条の3第1項第三号、令10条第三号イにより顕在化しないと思われる。
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