| 2009/07/29(Wed) 15:25:12 編集(投稿者)
>竪穴区画は(設計者が)主要構造部を耐火構造とする(したい)となってはじめて検討することになるのではないでしょうか。
おっしゃる意味、十分判ります。私も最初の頃は人間的に考えて、そう思ってました。性能は要求しなくて、意匠目的だけでやった結果・・・・必要の無かった区画まで?意味判らないと思います。
法文を良くよまれると、竪穴区画が他の防火区画と異なった法文になっていることがわかるかと思います。
令112条1項〜4項の準耐火建築物の面積区画は、準耐火建築物のみ対象であり、おっしゃる通りで、任意に準耐火構造にしたというだけでは対象になりませんが、逆に、準耐火建築物にしなればならない建物では、対象要件となれば必ず面積区画が必要になります。耐火構造に関しては以下の竪穴区画と同じ扱いです。
9項の竪穴区画は、耐火建築物・準耐火建築物にしなくても、任意に主要構造部全てを耐火構造にしただけで対象となってしまいますが、面白いことに、法的に耐火建築物・準耐火建築物にしなければならない建築物であっても、主要構造部を耐火構造等としない方法の耐火建築物・準耐火建築物であれば、竪穴区画は不要なのです。S造ALC外壁等に代表される「ロ準耐」建築物や、「耐火検証法」や「大臣認定工法」による耐火建築物がこれに当たります。これらは竪穴区画は不要です。
消防法でも、消防設備の緩和には「耐火建築物」でなく「耐火構造」を指定する規定も多いと思います。この時は、勿論「竪穴区画」を意識しています。
法律の中にはそんなのが多いものです。
最近の例では、設計契約を交わさずに、出来高何ぼで知人の設計業務を行っているうちは何ら問われないが、ふと思いついて両者が設計業務契約を交わしたとしよう。その時点で重要事項の説明義務違反、気付かずに数ヶ月後、更に書面の公布義務違反が問われてしまう。この時点で30万円の罰金刑だ。なにも契約してなければよかったのに、契約したばかりに・・・・。これも法律です。
木造の筋違も設けた軸組みの柱の緊結金物しかり。45x90シングルで設計していてV型PLを設置予定していたが、現場検査を受けたところ、大工さんが「材料が余ったので、より丈夫なように」と筋違をタスキに入れていた。NGの指摘だ。「金物をホールダウン金物に交換するか、筋違を取り外すかしないと合格できませんよ」との指摘を受ける始末。この筋違を増したことで応力が増大することはないのですが、ココでの法律の主旨は応力によって建物が崩壊したりしないことではなくて、「筋違が破壊される前に金物が破壊されることが有ってはならない。」というものだから、そうなってしまいます。
耐火建築物でも、同じかと。なんの強制もなく意匠の理由だけで「床・柱・壁・階段・屋根」を全てRCで仕上た。3Fには寝室がある。200m2も超えている。 開口部には防火設備は設置していない。主要構造部を耐火構造としただけで、耐火建築物では有りません。
3Fで夜間就寝中、放火により1F室内で火災発生。木造家屋なら瞬く間に火炎は広がり住人もろとも燃え尽きるか、気付いた飛び起きても階段を使ってまともに避難できないので窓から飛び降りるなどして助かっても重症です。家屋自体も全焼ですから仕方のないこと。ところが、主要構造部を耐火構造にしてしまうと建物自体は全焼しません。早期に気がつけば住人は耐火構造の階段を使って無傷で脱出可能です。ここでの法律の主旨は「建物(建物の部分)が全焼(崩壊)するまでは、人命が先に無くなってはいけない」ということです。
実際、竪穴区画で煙や火炎を所定時間遮断できれば1Fでの火災に対して、3Fにいる住人は安全だと言えます。3Fの部分は崩壊もしていないので亡くなることは有りません。区画がなければ、有毒ガスがすぐさまに3F住人を遅い、火炎の発生に気がつかないうちに、住人は意識を失って死に至ります。
安全な建物を作ってしまった以上、より安全な設備をも要求されるのです。
|